ヤマハっ子は楽譜が読めない?ヤマハ講師が考える「読める」のいろいろ

ジュニア

「楽譜が読めない」というお悩みは、小学生のお子さんをレッスンに通わせている保護者の方からよく出るお悩みです。

この記事では、ヤマハ講師目線で年齢ごとの読む力の目安や、「読める」と一言で言ってもいろいろな「読める」があることを解説していきます。

いつ頃楽譜を読めるようになる?ヤマハの小学生の読む力について

幼児科・ぷらいまりーでは、「きく→うたう→ひく→よむ」の順番で曲に取り組むことにより、音感を育ててきました。
「よむ」ことはテキストの楽譜を指で追いかけたり、ホームワークで取り組んだりしていますが、経験が少ないため、ジュニアのレッスンが始まった時点で楽譜をスラスラと読めるお子さんは少ないと思います。

小学生になると学校で教科書を読む、黒板の文字を読む、プリントやテストの問題を読むなど、日常生活の中で「読む」ことが爆発的に増えます。
音楽をする上でも、このタイミングが読む力をつけるのにベストなタイミングです。

ヤマハのレッスンでも、「ジュニア」からは、読んで弾くこと、弾いた音を楽譜で確かめること、楽譜を見ながら弾くことが大幅に増えます。

レッスンとご家庭での練習を通して読むことを意識していくことで、力を大きく伸ばしていくことができるのです。

一言で「読める」と言っても、現実的にはさまざまな段階があることを日々感じています。
「いつ頃楽譜が読めるようになりますか?」という質問に対して、私は目安として、
①小学校低学年で「読んで弾く」ことができる
②小学校中学年で「読みながら弾く」ことができる
③小学校高学年で「自分の力だけで譜読みする」ことができる
と3つの段階を踏まえてお答えすることが多いです。

それぞれの段階についての詳細を次の項目で解説します。

「楽譜を読める」のいろいろ

一言で「楽譜を読める」と言っても、さまざまな段階があります。

ここでは、「読んで弾ける」「読みながら弾ける」「譜読みができる」の3段階に分けて解説していきます。

①読んで弾ける

「楽譜を読んで弾ける」というのは、1つ1つの音の読み方を知っていて、数えて読めるという状態です。

時間がかかったとしても、音源を聴いたり見本を弾いてもらったり歌ってもらったりせずに音符を読むことができれば、楽譜を「読んで弾ける」と言って良いでしょう。

この段階での「読める」ことを、「読める」とは捉えない方もいらっしゃいますが、私はこれが大きな一歩だと思っています。

レパートリーや宿題になっている曲を、少しずつ楽譜を読んで弾く経験をご家庭でもしていくことが大切です。

数え方がわからない場合は、先生や保護者の方のサポートを通して数え方を身につけることが必要です。

この「読んで弾ける」ことの確認を、ヤマハではグレードの初見演奏を通して行います。
目安として1年目で受験する10級では4小節の曲を、2年目で受験する9級では8小節の曲をその場で見て演奏できることを目指します。

②読みながら弾ける

1つステップが上がり、次は「読みながら弾ける」という段階についてです。

「読んで弾ける」ことと何が違うかと言うと、楽譜を読んでからその音を弾くまでのタイムラグがあるかないかが違います。

「読む→鍵盤を見てその音を探す→弾く」とそれぞれの動作が分離していると、音楽の流れを止めずに演奏することはできません。

楽譜を読みつつ鍵盤を見てすぐに弾く→次の音を同じようにして弾く
と連続できたり、
いくつかの音のフレーズをまとめて読んで弾けるようになってくると、
読みながらある程度の完成像を弾いていくことができるようになります。

この「読みながら弾ける」状態になると、保護者の方も「楽譜を読めているな」と感じられると思います。

③譜読みができる

基本的な楽譜の読み方がわかってきたら、次のステップとして「譜読みができる」という段階になります。

初めて見た曲でも、楽譜を読んで演奏をしながらどんな曲か捉えることができ、自分自身の力で1曲を弾けるようになれば、楽譜を読む力としては充分な力がついたと言えるでしょう。

小学校低学年の頃からコツコツと楽譜を読む経験を積み重ね、それを弾いて確認することで耳の力と連携させていくと、自分自身で譜読みをする力を身につけることができます。

「読む力が足りていない!」と感じたら

ここまでご紹介してきた通り、「読める」にもさまざまな段階があります。
目安として、小学校低学年で「読んで弾く」ことができる、小学校中学年で「読みながら弾く」ことができる、小学校高学年で「自分の力だけで譜読みする」ことができるようになっていれば、読む力が問題なくついていると考えて良いでしょう。
しかし、『もう5年生なのに「読んで弾ける」段階までしかできていない』『中学生になったのに、一人では譜読みができない』など、読む力の遅れや不足を感じている方もいると思います。

原因としては、低学年の頃の練習量や練習の仕方(読んで教えてもらっていた)、レッスンの時の積極性(前向きな気持ちでなくただ通っていただけだった)、耳の力や記憶力が良すぎて読むことをほとんどしなかったなどなど、さまざまなな方向にあると思いますが、過去を悔やんでも仕方がないので、これからの練習方法を考えていきましょう。

「読みながら弾ける」のステップに進めない場合

なかなか「読みながら弾ける」ステップに進めないお子さんに多いのは、

・圧倒的に音符を読む経験が足りていない
・鍵盤を見ずに弾くことがとても苦手

の2つのケースです。

読む経験をとにかく増やす

低学年の頃、弾いてもらった手を見て覚えたり、読んでもらった音を聴いて覚えたりして曲を弾いてきた経験が多いお子さんは、
圧倒的に音符を読む経験が足りていません。

経験が少ないことがスムーズにできるはずがなく、苦手意識と相まって「読もうとしない」「譜読みが進まない」というお子さんもいらっしゃいます。

その状態になってしまったら、曲の譜読みをしているだけでは読譜力はなかなか伸びないので、弾いている曲とは別で「音符・楽譜を読む経験を増やすこと」を意識した取り組みをするべきだと思います。

市販のワークでも、音符読みに特化したワークがたくさん出ていますので、レッスンの宿題や曲の練習とは別に、とにかく音符をたくさん読むワークに取り組んでみましょう。

簡単に楽にできるレベルのものから取り組むのがおすすめです。

鍵盤を見ずに弾く練習をする

暗譜が得意なお子さんに多いのが、弾くときにずっと鍵盤を見ながら弾いているケースです。
鍵盤を見ずに弾くことになれていないので、簡単な運指でも鍵盤を見ないと弾けず「楽譜を読みながら弾く」ことができない原因になっていることもあります。

暗譜し鍵盤だけを見て弾くことが習慣になっているお子さんは、意識的に『鍵盤を見ないで弾くこと=楽譜を見て弾くこと』に取り組む必要があります。

各調のスケールやハノンなど、指づかいがシンプルなものを使って、鍵盤を見ずに楽譜を見ながら弾く練習をしましょう。

「譜読みができる」ステップに進めない場合

音符は読めて、ある程度の流れで読みながら弾けるのに、なかなか曲が弾けるようにならない(=自力で譜読みが完了できない)お子さんに多いのは、

・両手の合わせ方のコツがつかめていない
・曲の区切りを意識せずに弾いている

の2つのケースです。

両手で弾くときは楽譜を縦に見る意識を持つ

印刷された楽譜では、ほとんどの場合、楽譜の縦がそろっています。
つまり、同時に弾くところは同じ位置に音符が書かれ、ずれるところはずれて書かれているのです。

まずはその意識を持ち、右手の何の音と左手の何の音が同時に鳴るのかを確かめながら弾くようにしましょう。
右手のリズムを確認→左手のリズムを確認→同時に鳴る音を意識しながら合わせる
を繰り返すと、両手で合わせることができ、曲の流れもわかってきます。

曲の区切りを意識して練習する

年齢が上がり、長い曲に取り組むようになってくると、最初から最後まで通すだけでは、曲を捉えきれずなかなか弾けるようになりません。

クラシック曲にはあまり練習番号(A・Bなど)は書かれませんが、曲の区切りは必ず存在しています。

ここで一旦終わる感じだな、またここで同じメロディーが出てくるな、ここで調が変わっているなど、曲の区切りとなるところを見つけ、
短い部分に分けて部分練習することで、効率よく譜読みができます。

一般的な曲で多いのは、4小節・8小節・16小節の区切りです。
いろいろな曲で探してみてください。

【まとめ】音楽は「読めること」が全てではない、でも「読めること」はとても大切

ここまで「読める」にもいろいろな段階があること、学年ごとの目安と、それに足りていないときに意識してほしいことをご紹介してきました。

曲を演奏する上では「読めること」が全てではありません。演奏はリズムゲームのようにその音の鍵盤を押せば良い訳ではなく、音色や抑揚、フレーズ感など大切な要素がたくさんあり、読むことだけに意識を向けてしまうとそれらが失われてしまうことも多々あります。

ヤマハでは「どんな風に演奏したら素敵か」というところにも重点をおいて演奏していきます。

それを大切にしつつ、自力で譜読みができるようになるための手段の一つとして、「楽譜を読む力」をつけていって欲しいと思っています。

この記事を書いた人
さくら

ヤマハ音楽教室(YAMAHA MUSIC SCHOOL)のシステム講師。幼児から小学生のグループレッスンと、小・中学生のピアノ、エレクトーン個人レッスンを担当。「楽しみながら力をつけてもらいたい」という思いで日々レッスンしています。

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